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第五章 灰色の空へ

誠一には、あとで何をしたのかうまく説明できなかった。 ただ、右手を伸ばした。それだけだ。光の柱のようなものが地面から立ち上り、黒い霧を押し返した。男の手から羽が散り、宙に舞い上がった。一枚一枚がルアの元へ戻っていく。 男は膝をついた。泣いて...
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第四章 地下の声

事件は、誠一が思っていたより早く来た。 夜の丸の内、オフィス街の地下通路。仕事帰りのサラリーマンたちが行き交う中、誠一には見えていた。地面の亀裂から伸びる、黒い手を。 誰も気づいていない。スマホを見ながら歩いている。イヤホンをしている。目の...
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第三章 印の意味

翌朝、誠一は自分の右手首に見覚えのない痣があることに気づいた。直径二センチほどの円形で、中に羽のような模様が刻まれている。洗っても消えなかった。「それが印」とルアは言った。「守護者の印。三百年に一度、現れる」「なぜ俺なんだ。もっとましな人間...
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第一章 終電の男

加藤誠一は、五十三歳にして初めて、空を飛ぶ生き物を路地裏で拾った。 時刻は午前零時を過ぎていた。山手線の終電を乗り過ごし、新橋から虎ノ門まで歩いていた誠一は、背広の肩に雨粒を受けながら、コンビニの袋を片手にぶらぶらと歩いていた。胃薬と缶ビー...